当店で販売しているARATAの接着剤とプライマーの商品説明と、プロの靴修理職人の実際にやっている接着修理方法を説明していきます。
接着は難しく根気がいる作業ですが、ノウハウがあれば自身でも修理できます。革靴でもスニーカーでも婦人靴でも通用する接着方法を説明していきたいとおもいます。靴底専用の接着剤になっているので、瞬間接着剤などとは違い曲がりに強く歩行などで簡単に剥がれることはありません。
※職人や素材によってやり方の違いはございます。
こちらのページとはまた別で動画での説明もありますので、ご覧いただければと思います。
接着剤・プライマーの紹介
スニーカーアトランダム販売商品
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初めて作業する方はこちらのセットがお買い得です。
プライマーって何?と思う方も多いかもしれません。別名は接着促進剤なのでその名の通り接着を促進する溶剤です。これを塗るか塗らないかで接着の強さは大きく変わるので、接着剤を塗る前にプライマーで下塗りをしておかなければいけないと言ってもいい程重要な溶剤です。町の修理屋さんでは接着しやすい革靴(下塗りする革靴もある)以外は必ず下塗りをするはずです。
プライマー1stと2ndがありますが、普通のスポンジのように見える素材であれば1stで十分です。さらに接着が難しいドクターマーチンのソールのような塩化ビニール素材だと2ndをおすすめします。簡単に言えば2ndのほうが強力と言えるかもしれません。基本的には1stで十分かと思います。
しかしながら、塩化ビニールや付きにくい素材の見分け方は難しいところがあります。その場合は1stがアッパー用、2ndがソール用、と考えて使用しても大丈夫です。
簡単に言うと
- プライマーは下処理をする接着促進剤
- プライマー1st は普通のスニーカー用 又はアッパー用
- プライマー2ndは塩化ビニール用 又はソール用
接着(DIY)の手順
①剥がれ具合、劣化具合の確認
劣化が酷い場合はただ接着をしてもすぐ剥がれてしまいます。粉状になっていてポロポロしていたり、ぐずれ落ちていっていないかどうかを確認してください。靴を曲げたときにソールが割れてしまうような状態も劣化が激しい証拠です。その場合は接着では修理できないので、残念ながら修理屋さんに持っていくしかありません。といってもスニーカーのソールの交換をやっているお店は少ないので是非当店でお見積りしてみてください。
下の画像のミッドソールは崩壊しています。
劣化が大丈夫そうなら次に進みましょう!
つま先の部分やカカトの部分だけなど部分的に剥がれていると思われても少し力を入れるとどんどん剥がれていくケースが多いです。これは1度全部を剥がすしかありません。部分的に接着したところで別の部分が剥がれてくるので意味がありません。全部剥がしたほうが作業も楽です。
力を入れて剥がそうとしても剥がれなければ部分的な接着でも大丈夫です。
上の画像のようにソールがアッパーに覆いかぶさるようなお椀型ソールをカップソールと呼びます。その場合、覆いかぶさる部分のアッパーの表面がポロポロ取れる場合残念ながら付きません。紙やすりで表面を取り切ってもうポロポロしてこないのでしたら接着は可能です。ただし見栄えは悪くなるかもしれません。
②元の接着剤等汚れを落とし乾燥させる
接着する両面に付着している接着剤やゴミ・サビ・油などの汚れをサンドペーパーやアルコールなどで完全に落としてよく乾燥させます。
ゴムや皮革は必ずサンドペーパーをよくかけてください。
紙やすりは市販の紙やすりで大丈夫です。
ちなみにこの工程は職人によって色々な処理の仕方があります。接着面にティッシュを敷いてシンナーを染み込ませて少しの間置いておき、完全に乾かないうちにヘラでそぎ落としたりも有効な手段です。
靴の修理屋さんではフィニッシャーと呼ばれるベルト式のグラインダーがあるので、半分以上はその機械で擦れます。ご自宅だとホームセンターなどで販売されている彫刻用の電動ミニルーターや、電動ドリルに取り付けられるやすりなどでそぎ落としていくのも、有効かもしれません。
それにしても大変な作業になると思います。
③プライマーでの下塗り、そして乾燥
②の工程が完了したあとはプライマーを塗っていきます。薄い膜を作るように接着面全体に塗ってください。
※プライマーと接着剤使用の際は窓を開けて換気しながら作業してください。(一番下にある注意書きもご覧ください)
アッパーは剥がれた跡があるので、それを1ミリ以内にはみ出す程度で塗っていきましょう。完璧が良いという方は丁度のところまでで塗ってもいいですが、⑤の接着で境界線付近がちゃんと付くかの難易度はかなり高くなります。
プライマーと接着剤の塗布で難しいところは接着面との境界線の部分です。プライマーが塗ってなければ付きにくく、接着剤が塗れてなければくっつきません。
それと、接着修理はソールとアッパーの境界線の部分は少し接着の跡が残ってしまいます。最近は減っていると思いますが、新品の既製品のスニーカーでさえよく見ると接着剤の跡が見えたりもしますので、それが修理となればどうしても跡がでてしまいます。
塗り終わったら、30分~1時間ほど乾かします。環境によって時間は変わってきます。
部分的に接着をする場合、プライマーを塗った後、接着剤を塗った後共に、塗ったアッパーとソールが乾くまでくっつかないように、間に爪楊枝や割りばしのようなものを挟ませてください。
④接着剤(のり・グルー)での上塗り、そして乾燥
プライマーを乾かしたら、ソールとアッパーの接着面全体にプライマー同様薄い膜を作るように接着剤を塗ってください。
塗り切れてないところを塗るために、30分程度乾かしたら2回目のグルーを1回目同様に塗ります。
ちなみに接着剤の呼び方ですが、「のり」でも「ボンド」でも一緒で修理屋さんは「グルー」と呼ぶことが多いです。
お分かりになられたと思いますが、接着と聞くと文房具ののりやボンド、瞬間接着剤等の塗り方を想像して、塗ったあとにすぐくっつけると思うはずです。「すぐくっつけて」と来店される方の大多数はそのように勘違いされていらっしゃいます。
靴の接着は接着部分にのりをより強くくっつけるために乾かしてのり同士を最後にくっつける形です。靴は毎日かなりの負荷がかかって労働させられているのでちょっとした接着ではすぐ取れてしまいます。革靴よりもスニーカーは圧倒的にくっつきません。ですので接着修理はすぐにはできないのです。
「アッパー」 ↔ 「のり」 と 「のり」 ↔ 「ソール」 を付けてから
「アッパーのり」 ↔ 「のりソール」 とを付けます。
「ペンアッポーアッポーペン」と同じです。「アッパーノッリノッリソー」です。
ミッドソールとアウトソールで分かれてるなら、「アッパーノッリノッリミッドソーノッリノッリアウットソー」です。
当たり前と思うかもしれませんが、アッパーとソールが直接付いているわけではなく、間ののり同士がくっついています。それを意識するだけでちゃんとやらないと付かないと思えませんか?
⑤いよいよ接着!
2度塗りから20分〜30分程度乾かし、塗布した面に粘着テープのような粘着性がでてきたらすぐに貼り合わせ、強く押さえ圧着させます。
必要に応じて粘着テープやヒモなどで固定します。アッパーの特に合皮が劣化している場合テープで剥がれてしまう可能性がありますので中が必要です。
張り合わせまでの時間を置きすぎて塗布面の粘着性が低下してしまったり、圧着が足りないとうまく接着できません。意外と難しい作業になります。ちょっとの失敗は仕方ないぐらいに思わないと、やり直した場合もっと汚くなる可能があります。
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まずはソールとアッパーのカカトかつま先どちらかを合わせてください。まだ合わせる場所を探っている状態ですので、ずれた場合やり直せる程度に軽く付けます。カカトを先にやった場合は次に反対側のつま先を合わせてください。つま先にだけ覆いかぶさる部分があるならつま先から先のほうがいいです。
カカトとつま先が固定されたら、中間部分もゆっくりと元々の位置に合わせて軽く付けてください。
ソールの素材によっては使用や保管の状況によってソールが縮んだり伸びたりしています。縮んだ場合はカカトを合わせたらつま先のほうに力を入れて伸ばして、伸びた場合はカカトとつま先を合わせたら中間で辻褄を合わせる感じになります。
難しいのは。カップソールです。
アッパーを包み込むようにグイッと力をかけて入れていかないといけません。うまくいかないとアッパーに入れようとした中途半端なところでくっついてしまいます。これは修理屋さんでも難しい作業になります。この写真だとまずカカトから合わせてつま先のほうはグイッとサイドもグイッと力を入れて包み込んで、上手く入ったら包み込んでる部分を力を入れてちゃんとくっつけます。上に書いたようにソールが縮んだり伸びたりした場合はもっと難しいです。
①で説明した通りカップソールの場合、覆いかぶさる部分のアッパーの表面がポロポロ取れる場合残念ながら付きません。
上記が仮止めとすると最後にできるかぎりの力を入れて圧着します。
多くの方は、境界線部分に隙間がでたりすぐ剥がれそうだったりしているかもしれません。
のり同士が付いていないのならそこをドライヤーで少し温めて再度壁に押し当てたりして付けましょう。それでも付かない場合はのりが塗れてないのかもしれません。爪楊枝などでのりを隙間から塗ってまた乾かしてから付けてみてください。
それでも付かない場合もあります。プライマーやグルーを塗布してから放置時間を取りすぎて接着できなくなった場合は、再度グルーを両面に均一に塗布してからの工程を行います。
約24時間(23℃湿度50%)で実用強度に達します。
※接着できないもの
- ポリプロピレン
- ポリエチレン
- シリコンゴム
- フッ素樹脂
- ナイロン etc.
職人やお店によってやり方は様々ですが、スニーカーの接着を積極的にやっているお店は少ないようです。革靴修理店ではくっつきにくいソールの下地に瞬間接着剤の膜を作ってからのりを上塗りしたりと、やり方は色々ございます。
注意書き:当製品は業務用の強力な溶剤を使用しています。取り扱いには十分注意してください。すべての安全注意を続み理解するまで取り扱わないで下さい。
1.保護手袋・保護眼鏡・保護面・保護衣を着用して下さい。
2.取扱い作業場所には、局所排気装置を設け、炎および高温のものから遠ざけて下さい。
3.この製品を使用するときに、飲食または喫煙をしないで下さい。
4.ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないで下さい取扱い後は良く手を洗って下さい。
5.皮膚に付いた場合は、直ちに多量の水で洗い、かゆみや炎症が残った場合は、医師の診断を受けて下さい。眼に入った場合や、蒸気を吸って気分が悪くなった時、又は誤って飲み込んだ場合は医師の診断を受けて下さい。
6.密栓し、直射日光の当らない換気の良い場所で5〜35℃で保管して下さい。
7.廃液は、関係法令に基づき適正に処理するか又は廃棄物処理菓者に委託して処理して下さい。
8.緊急時の措置 保護具・空気呼吸器を着用して下さい。火災時の消火は粉末、一般の泡消火剤をご使用下さい。
9.漏洩時は排水溝、下水溝への流入を防いで下さい。
10.靴底の種類や形状によっては接着できないものもあります。
11.貴金属や高価品の接着には使用しないでください。
12.子供がいたずらをしないよう注意し、手の届かない場所に保管してください。
危険有害性情報:引火性、吸入 皮膚刺激性:重篤な目の損傷、生殖能または胎児への悪影響の恐れ、授乳中の子に害を及ばす恐れ、臓器(中枢神経系)の障害、(気道刺激性)呼吸器への刺激の恐れ、(麻薬作用)眠気またはめまいの恐れ、長期又は反復暴露による臓器の障害、飲み込み、気道に侵入すると有害の恐れ、水生生物に毒性
剥がれる原因や修理に出した場合の修理費用など、下記リンクも参考にしてみてください。